その①水成二酸化塩素の殺菌理論(概要)
水成二酸化塩素の活性形態は分子レベルで行われ、各種の異なった微生物発生源に対して即時 反応する酸化作用である。
有機酸は、微生物の数多い代謝過程(metabolic Process)で使われ、事実上、副産物となるため、 多くの有機物の微細環境(microenvironment)は極めて酸性が強い。
このような条件下では、接触と同時に遊離二酸化塩素(clΟ₂)を急速に発散させるには理想的であ る。
更に好都合なことには、細菌の細胞壁の各構成部分が、とりわけムラミン酸(muramic acid)やティコ イン酸(teichoic acid)のような酸性のものが多い。
そこで、水成二酸化塩素中の遊離二酸化塩素は、細菌細胞膜のタンパク質部分を侵食することが 出来るのであり、即ち、相当の内圧の影響で原形質の破壊がもたらされ、細胞の死滅へと至るのであ る。
主要代謝酵素(metabolic enzymes)の破壊が、水成二酸化塩素の殺菌作用の最大要因であるこ とは、これまでの研究でほぼ明らかにされている。
上述したように二酸化塩素は容易にアミノ酸と反応す るのである。
特に、硫黄分を含有するチロシン(tyrosine)のような芳香族(aromatic)のものには顕著である。
タンパウ質はアミノ酸結合でできており、
その三次元形態(3 dimensionals)と機能は、硫黄含有アミ ノ酸の二硫化結合の結果である。
この結合が破られて芳香性アミノ酸が分解すると、タンパク質の形は変形して、その結果として独自の機 能を喪失することとなるのである。
芳香性アミノ酸への浸蝕と酵素内にある二硫化結合が解かれると、タンパク質合成、機能輸送 (active transport)および最も活発な代謝過程のような本質的な諸機能が停止するのである。
勿論、これ等のうちのいずれかが停止しても細胞は死滅するが、